55-7-1(ルーセルの公式 1/26)



 まず、訂正をいくつか。  55-6-14などで、死後刊行本に引用されたチェス記事は三本あると書いた。  しかし、これはあやまりである。55-6-1にある通り、三種類と言わねばならない。  『ビショップとナイトによるチェックメイト』(1932年十一月号)と『ビショップ とナイトによるチェックメイト』(十二月号)、そして『キングの決闘』(1933年二 月号)、最後に『レーモン・ルーセルと文学におけるチェス』(1933年一月号・二月 号)。この四本が掲載されている。  興味ある方はroussel-1以下を読んでいただきたい。

 また、『キングの決闘』に関しての図にケアレスミスがあり、白(ルーセル)の側の ナイトが欠けていた。おわびしつつ、訂正してあります。

 さらに、この『キングの決闘』に関して、ルーセルは“ポーン・エンディングでもな い勝負に関係して“マス目というものは(特にポーン・エンディングにおいては)空間 の中に投影された時間をあらわしている”と言った、と僕は書いた。  しかし、これもあやまりである。  roussel-5をのぞいていただこう。 「1.……  Nd5+! 2.N×d5 K×d5」という最初の段階で、すでに勝負はポーン・エ ンディングとなっているのだった。  二手目、白がN×d5とした段階の図を下に載せておく。


『キングの決闘』より 図32



 さらに事務的なことを書くと、なぜかわからないがルーセルのチェス記事が載るHP
には奇怪な不具合が多く、メニューから選択して進んでいただかないと飛べないケース
が多い。上記のリンクからも飛べないおそれがあるので書き添えておいた。


 と……色々と訂正、おわびが重なって始まった「55ノート」の第七章である。
 ソシュールについてもきちんと書かなければ伝わらないことが多いし、デュシャン
の『遺作』についても、またルーセルのこの『キングの決闘』にまさしく“オポジシ
ョン”がからんでいること(僕はすっかり忘れていたのである。自分が一番驚いた)
についても書かなければならない。


 我々のポーンエンディングはまだまだ先になりそうだ。
 
 
  






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